排卵障害における不妊治療 |
○ステロイドホルモン療法
卵障害は、その障害が器質的なものであれば先ずその原因の除去になりますが、ホルモンバランスの乱れによる機能的な障害も多く、この場合ホルモン療法が行なわれ行なわれます。軽度であれば、低用量ピルなどの卵胞・黄体ホルモン配合剤を使用することがあります。これは、およそ3周期ほど服用し、外からのホルモンでバランスを整え、周期も調整します。この服用期間中は間脳-下垂体からの性腺刺激ホルモンが抑制されています。ピルの服用を止めると、抑制されていた下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌が、いままでよりしっかりとなり、改善されることがあります。その結果、黄体機能不全などの軽症例では、妊娠に結びつくことがあります。これを跳ね返り現象による治療ともいわれます。 |
○カウフマン療法
卵胞ホルモンの注射剤を、卵胞期に合わせて投与し、次に黄体ホルモンと卵胞ホルモン剤を筋肉注射し、これを数周期繰り返すことがあります。これはカウフマン療法といい、ピルよりもホルモン量も多くなり、子宮の反応もしっかりしてきますので、子宮が小さ医場合やホルモンの反応性の悪い方に用いられることがあります。 |
○抗エストロゲン療法
無排卵周期症や第一度無月経などには、クロミフェンなどの抗エストロゲン(卵胞ホルモンに拮抗する働き)作用を有する薬剤を使用することがあります。これは月経5日目より5日間薬剤を服用し、その後の排卵を促す方法で、クロミフェン服用中、抗エストロゲン作用により間脳-下垂体は、内因性の卵胞ホルモンが分泌されていないと感知し、下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌がよくなり、排卵が促されるのを目的と利用したものです。内服による排卵誘発剤と呼ばれています。 |
○ゴナドトロピン療法(性腺刺激ホルモン療法)
第二度無月経などの重症な排卵障害に対しては、hMG(ヒト閉経後尿由来性腺刺激ホルモン)製剤が用いられます。この製剤は閉経後の女性の尿を抽出して精製したもので、その尿中には卵胞刺激ホルモンが多く含まれています。これを筋肉注射しますと、卵巣に直接働きかけ、卵胞の発育を促し、排卵させる方法です。この方法は、強く卵巣を刺激しすぎて卵巣過剰刺激症候群(OHSS)となることがありますので、医師は慎重に卵巣の管理を行いながら投与していきます。受療者側も医師との連携を取り、密に連絡が取れるようにしなければなりません。
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